シュリーマンの語学習得法


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 ハインリッヒ・シュリーマンは、19世紀ドイツの考古学者です。貧しい家庭に生まれましたが、実業家として成功し、巨万の富を築きます。41歳で引退した後、その資金を遺跡の発掘につぎ込み、ギリシアのトロイ、ミケーネなど数々の古代遺跡を発見しました。

 彼は語学の達人としても有名で15ヶ国語を話すことができたと言います。自伝『古代への情熱』には彼の語学の習得法が記されています。ちょっと常人離れしていますがよく知られているのでその一節をご紹介します。関楠生氏の訳によります。

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 私は一心不乱に英語の勉強に打ち込んだ。そしてこの際、必要に迫られて、私はどんな言語でもその習得を著しく容易にする方法を編み出したのである。その方法は簡単なもので、まず次のようなことをするのだ。

 大きな声でたくさん音読すること、ちょっとした翻訳をすること、毎日一回は授業を受けること、興味のある対象について常に作文を書くこと、そしてそれを先生の指導で訂正すること、前の日に直した文章を暗記して、次回の授業で暗誦すること、である。

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 私の記憶力は、子どものころからまったく訓練してなかったために弱かったのだが、しかし私は学習のためにどんなに短い時間でも活用したし、時間を盗みさえしたほどだった。できるだけ速くよい発音を身につけるために、日曜には定期的に二回、イギリス教会の礼拝式に行き、説教を聞きながらその一語一語を小さな声で真似てみた。使いに行くときはいつも、雨が降るときでも、手に本を持って行って、少しでもそれを暗記した。郵便局で待っているときにも、本を読まないことはなかった。こうして私の記憶力は徐々に強くなった。

 そして三ヶ月後にはもう、あらかじめ三回注意深く読んでおけば、毎日どの授業時間にでも先生のミスター・テイラーとミスター・トンプソンの前で、印刷した英語の散文二十ページを、やすやすと言葉どおりに暗誦できるまでになった。こういうやりかたで、私はゴールドスミスの『ウェークフィールドの牧師』とウォルター・スコットの『アイヴァンホー』を全部そらで覚えてしまったのである。

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 頭がひどく興奮していたために夜も少ししか眠らず、夜起きている時間はすべて、晩に読んだものを頭の中でもう一度くり返してみることに使った。記憶力は日中より夜の方がはるかに集中しやすいから、私はこの夜の反復練習にもきわめて大きな効果を認めた。この方法はだれにでもおすすめしたい。かくして私は、半年の間に英語の基本的知識をすっかり身につけることができたのである。
(『古代への情熱』(シュリーマン著、関楠生訳)から)
あさのは塾便り::勉強・子育てなど | 11:11 AM | comments (x) | trackback (x)

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