百人一首 4 その2


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夜をこめて 鳥のそら音は はかるとも よに逢坂(あふさか)の 関はゆるさじ
(清少納言) 


 キーワードは「博識」「切れ味よし」「勝負優先」

「博識」
・枕草子を読んだことのない日本人はいないでしょう。
・清少納言は藤原定子(ていし)に女房(お付きの女性)として仕えました。
・この歌は彼女が藤原行成(ゆきなり)とのやり取りで詠んだもの。
・二人とも文学の才に恵まれ教養豊か。
・気が合うが恋人同士ではない。

「切れ味よし」

・ある夜二人は遅くまで無駄話をしていたが途中で行成が帰ってしまう。
・翌朝そのことで手紙をやりとり。

「ごめん。夜明けの鶏が鳴いたから帰ったんだ」
「函谷関(かんこくかん)の鶏じゃないの?」
「函谷関じゃなくて逢坂(おうさか)の関だよ」
「はあ? あんたなんかとする気ないわよ」


 上記の最後の手紙がこの和歌である。

 少し説明すると、かつて中国の斉(せい)の君主孟嘗君(もうしょうくん)が秦に追われて函谷関という関所にさしかかった。

 関所は夜明けにならないと開かない。そこで部下に鶏の鳴きまねをさせて夜明けと思わせ関所を抜けることができた。だから函谷関の鶏とは本当にいるとは限らない鶏を指す。

 一方、逢坂の関とは日本の大津にあった関所。名前からの連想で「逢坂の関を越える」とは「男女が結ばれる」という意味になる。

「勝負優先」

・いくら夜更けに鶏の鳴きまねをしても一線は越えませんよ、という清少納言の返事。
・言葉の調子も強くて切れ味は抜群。

 しかし男性目線で見れば、その分余韻に乏しくて寂しい気がします。彼女にとっては白黒つけてやり込める方が大事だったのでしょうね。
あさのは塾便り::本・映画など | 08:40 AM | comments (x) | trackback (x)

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