生物進化の「ロマン」


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 地球が誕生したのが46億年前。生物の痕跡が残っているのが35億年前。

 生物は繁栄のために長い準備期間をかけました。成長と繁殖の仕組みを整え、酸素の放出を通じて地球の環境に働きかけました。

 30億年の歳月が過ぎた後、5億4100万年前に多種多様な生物が大量に出現し、古生代が始まりました。

 生物の進化には壮大なロマンがあるし、その苦闘の歴史には敬意を表さずにはいられません。

     ◆◇◆◇◆
 さて、それはそうなのですが、他方でこういう話を書くと、心のどこかに居心地の悪さというか良心の痛みを感じてしまいます。

 というのは、仮に古生代の生物が一匹でも部屋に入って来ようものなら、輝かしき進化の産物に向かって、自分が戦々恐々と殺虫剤を吹きかけまくることは間違いないからです。

     ◆◇◆◇◆

 古生代といえば、まず三葉虫を習います。これは節足動物でムカデやヤスデの親戚です。

 教科書の写真は白黒の化石なので何とも思いませんが、もしもカラーの動画だったらちょっと感想は変わるでしょう。

 フデイシというのも古生代の示準化石ですが、これは半索動物。海底に住んでいるギボシムシなど、やはり触りたくないタイプの生き物の仲間のようです。

     ◆◇◆◇◆

 陸上には昆虫、クモ、ダニ、ムカデなどが勢揃い。彼らを捕食する鳥類はまだ登場していませんから、連中は地上を我が物顔で闊歩していたことでしょう。

 時代が下ると、羽を広げたら65センチになる大型トンボ(メガネウラ)や、全長2メートルの大型ヤスデ(アースロプレウラ)、海の中には2.5メートルの長さのウミサソリ(イェーケロプテルス)が歩いています。

 タイムマシンが発明されて古生代の地球に降り立ったとしても、こんなところにキャンプを張るのだけはごめんですね。

     ◆◇◆◇◆

 さて、宇宙や地球の話では、距離や時間の尺度が私たちの感覚をはるかに越えています。スケールをつかむためのたとえ話を紹介しましょう。

<その1>

 新生代の長さを 1 と置くと、他の時代の長さの割合はどうなるか?

<答え>

 先カンブリア時代(生物の準備期間)  61.5
 古生代(生物繁栄の始まり)       4.3
 中生代(恐竜など)           2.8
 新生代(ほ乳類など)          1.0


     ◆◇◆◇◆

<その2>

 1歩で1m進むと 1,000 年の時間が戻ると仮定する。恐竜を見るまでにどれくらい歩くか?

<答え>

 66,000 歩戻ると、恐竜が滅ぶきっかけになった隕石の衝突まで遡ることができます。距離にして 66 ㎞ なので、京都から神戸くらいまで。ちなみに沖縄まで移動したとしても、まだ恐竜が活動中です。


     ◆◇◆◇◆

<その3>

 地球の歴史 46億年を仮に1年に直すと、地球上の事件はいつ起きたことになるか?

<答え>

1月1日    地球の誕生
3月下旬     最古の生物の痕跡
5月下旬     光合成の始まり
7月中旬     真核生物の登場
10月中旬     多細胞生物の登場
11月中旬    古生代(生物繁栄の始まり) 
12月中旬    中生代(恐竜など)
12月26日    新生代(ほ乳類など)
12月31日 23時41分
         ホモ・サピエンスの登場
12月31日 23時59分46秒
         西暦の始まり


 地球の歴史を一年に縮めると、人間の2000年の歴史は15秒ほどになってしまいます。
あさのは塾便り::本・映画など | 08:10 AM | comments (x) | trackback (x)

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